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事後レポート

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「OPEN ART -渋谷アンデパンダン展-」講評パートナーによる批評・感想を公開!

2024/09/11

OPEN ART-渋谷アンデパンダン展では、アンデパンダン展の趣旨に則り、一切の審査・表彰は行いませんが、講評パートナーによる批評・感想を掲載いたします。

応募された107作品の中から、講評が行われた作品をご紹介します。ぜひこの機会に、さまざまな視点からのコメントをお楽しみください!

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講評の様子

「OPEN ART-渋谷アンデパンダン展」について

「OPEN ART -渋谷アンデパンダン展-」では、渋谷の主要スポットを作家の才能をひらく場として提供します。アンデパンダン展とは、出品された全作品をすべて展示する、1884年にフランスのパリで初めて開催された美術展覧会です。アンデパンダン展で作品を発表した歴代のアーティスト達は現代の美術界にも大きな影響を与えた人物が多く、日本でも1947年にはじめて開催されて以降、多数の著名アーティストを輩出してきました。
本企画の応募資格について年齢や国籍は問わず、応募された作品はすべて展示します。必須条件は「Tシャツ」をキャンバスにした作品のみ。皆さまからオリジナリティ溢れる107作品が集まり、7月29日(月)~8月31日(土)に渋谷駅周辺の9会場で展示しました。(一部会場は展示期間が異なります。)

講評パートナー
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上段左から:高須咲恵(アーティスト/SIDE CORE)、千原徹也(株式会社れもんらいふ 代表)、遠山正道(株式会社 The Chain Museum代表)、橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

 

下段左から:長谷部健(渋谷区長)、箭内道彦(クリエイティブディレクター/東京藝術大学 教授)、吉井仁実(アートディレクター/清春芸術村 理事長)、脇田玲(アーティスト/慶應義塾大学 教授)

 

※五十音順、敬称略

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  長谷部健(渋谷区長)  

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渋谷駅周辺は、JR渋谷駅新南改札の移転開業、渋谷アクシュと渋谷サクラステージの開業をきっかけに、渋谷まちびらき2024を迎えました。

渋谷駅周辺の様々なスポットで行われたこのアンデパンダン展は、「ちがいを ちからに 変える街。」を目指す渋谷区にとってふさわしいイベントとなったと感じています。

 

展示作品は、イラストや写真などで表現されたさまざまなモチーフや、素材や加工などもあらゆる表現方法があり、いずれも興味深い作品ばかりでした。Tシャツという身近なアイテムではありますが、そこに込められたそれぞれの表現から、多様なエネルギー感じることができました。

アーティストの皆さまの表現力の豊かさは、観る人たちにも新たな発見やインスピレーションを与えてくれたのではないでしょうか。こうした独創性や多様性が存分に発揮された作品の展示は、渋谷らしさを再確認できるとてもよい機会でした。

 

また、1か所ではなく、様々な場所で行われたことも、新たな発見に出会える良い展示スタイルとなっていました。作品を鑑賞しながら、回遊性が向上した渋谷駅周辺を巡り、エリアやまちの違いなど楽しんでもらえたらと思います。 

渋谷区は、これからも新たな文化の発信地として、このように創造性豊かなエネルギーが生まれ続けていくまちづくりをしていきたいと考えています。

 

渋谷区長 長谷部健

 

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 高須咲恵(アーティスト/SIDE CORE)
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アーティスト名|中山 裕輝
タイトル|I'm home.

感想・批評|”私自身が家”だと思える。という一文は、移動式の家、殻をもった蝸牛を想像し、日々生きながら旅をする宣言をした文章として目に止まりました。冒頭の”福島県双葉町出身”から、福島原発事故による帰還困難区域から双葉町の一部が2年前に解除されながらも、現在2割程度の人しか戻れていないとてつもない事実について渋谷の真ん中で考えました。”この言葉を着ていれば私はどこにいても私でいられるような気持ちになったんです”と、言えるにかかった時間、苦悩に対し、他人が理解するには、さらに多くの時間を要するメッセージだと思いました。

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アーティスト名|ゆーせい
タイトル|サイとカバの合体。そしてウンチと謎の野球ボール

感想・批評|合体した生き物、ウンチ、謎の野球ボール2球。私も合体した生き物やウンチ、謎の何かに惹かれている。ウンチは生きていることを実感できて、今さっきまで自分の一部だったことが、惹かれる理由かとおもいます。昔はよく道端で見た犬のウンチもだいぶ減りましたので、他者のウンチをみることも減りました。特段見たい、と望んでいるわけではありませんが、言葉が通じない相手を理解する手掛かりの一つなので、まったく見る機会がないのも違和感があります。解説を読んではじめて絵のこれがウンチだと知りましたが、せめて着てみたいなとおもって眺めていました。

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 千原徹也(株式会社れもんらいふ 代表)
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アーティスト名|Taito Fushimi
タイトル|River Surface

感想・批評|Tシャツは、目に留まるメディアとして、第一印象のインスピレーションが非常に重要だと思っています。一見、抽象的なデザインかと思いきや、渋谷川の水面そのものが転写されているのが面白いと思いました。渋谷の歴史がTシャツに染まっていて、渋谷で働く僕にとって、とても関係の深い作品だと感じました。遠目から見ると、Tシャツのシワのように見えるのも視覚的に面白いと思いました

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 遠山正道(株式会社 The Chain Museum代表)
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アーティスト名|中山裕輝

タイトル|I'm home.

感想・批評|双葉町と渋谷という両極に暮らす自らの不安をI'm home.を着込むことで自らを鎮魂するのだろう。アートはアイデンティティであるならば、この作品はまさにアートそのものと言える。

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アーティスト名|東智香

タイトル|妖

感想・批評|妖怪には四角いキャンバスよりも身体が相応しい
必然性を得た作品

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アーティスト名|瞬

タイトル|ハチ公の左目

感想・批評|作品の解説と作品にギャップがあるが、それも含めてざわざわする何某かの違和感。
えぐるように迫ってくる。

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アーティスト名|Mila Useche

タイトル|Starwalker

感想・批評|着てみたいで賞
ぬいぐるみのようなわたがしのようなふわふわしてかわいいです

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アーティスト名|Takeyama yutaka

タイトル|Dying

感想・批評|選ばれたTシャツも差し込まれたコンセプトも全てが今回の中で一番センスを感じる
売ってるなら買いたい。他の作品も見てみたい

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アーティスト名|ヒント

タイトル|Shibuyeah

感想・批評|今回のアンデパンダン展で物販あるなら手堅い作品。Tシャツという素材をそのまま直球でクリーンに打ち返した

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アーティスト名|Karen Sakashita

タイトル|inner core

感想・批評|アンデパンダン展ということであればこの作家を無視してはいけないのだろ。作家にとってのTシャツという概念の破壊性が気持ち良い

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アーティスト名|Taito Fushimi

タイトル|River Surface

感想・批評|彫刻的である。渋谷川の水面なのだとすれば表層が内包するものは何だろうか

 

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アーティスト名|Kate Matsufuji

タイトル|Open light

感想・批評|着の身着のままこのまま一週間着てる人が居そう。身体に染み付くような表現


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 橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)
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アーティスト名|Kate Matsufuji

タイトル|Open Light

感想・批評|Tシャツという限られたフォーマットの中でどれだけ自分の表現ができるのか、という点に注目しました。Kate Matsufujiは、「脱色による描画」という逆転の発想によって、Tシャツ全面をダイナミックに使っています。また、脱色によって生み出された線はグラフィティーにように有機的であり、そのモチーフとともに、「渋谷」という街のノイジーな雰囲気が的確にとらえられています。


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 箭内道彦(クリエイティブディレクター/東京藝術大学 教授)
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アーティスト名|玉十ニエン

タイトル|渋谷近隣2024

感想・批評|心臓ドキドキ。背中も良かったです。

 

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アーティスト名|neutral Gift

タイトル|酔いしれて

感想・批評|アヒルとお猪口って、なんかめちゃめちゃわかる!気がしました。

 

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アーティスト名|坂井 明日香

タイトル|渋谷は、

感想・批評|ハロウィーンのことは渋谷のとって大きな問題。T シャツはやはりメッセージを発信しながら動くメディアでもありますね。


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アーティスト名|小川 めぐみ

タイトル|もしも忠犬じゃなかったら

感想・批評|雨の日も主人を待つ、こういうハチ公もいいですね。


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アーティスト名|¿GINE?

タイトル|不安定に生きる

感想・批評|広げることのできないTシャツに強い身体性を感じました。


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アーティスト名|6月のセントポーリア

タイトル|grease - 潤滑油

感想・批評|このTシャツが似合うミュージシャンの顔が浮かびます。

 

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アーティスト名|オウムガイ

タイトル|キラキラ

感想・批評|制服、繋いだ手、肩にかけたカバン、二人の目線、渋谷。何よりモノクロームであることがとても良かった。

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アーティスト名|ヒント

タイトル|Shibuyeah

感想・批評|YEAH シンプルに響きました。声が聞こえます。

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アーティスト名|折戸 朗子

タイトル|懐増量T

感想・批評|ポケットには、なにも入れなくても、いつかなにか入るワクワクの余地がありますね。

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アーティスト名|NAGON

タイトル| 's chair

感想・批評|僕には渋谷駅で主人を待つハチに見えました。

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アーティスト名|seta

タイトル|特別を作る人

感想・批評|知っている人に似ています。あの人かな?

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アーティスト名|JUNYA WATANABE

タイトル|渋谷雨景

感想・批評|雨の渋谷。未来にも情緒は存在します。

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アーティスト名|宮川 幸音

タイトル|想

感想・批評|いろんな何かに見える美しさ。

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アーティスト名|BAKKY

タイトル|BAKKY in Shibuya

感想・批評|横顔とも正面とも目が合う。何を想っているのだろう?

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アーティスト名|Mingzi

タイトル|water-stream-24

感想・批評|着てみたいと思いました。

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アーティスト名|1.1 Group

タイトル|Pink

感想・批評|最近はワイヤレスが増えましたね。渋谷に似合う音楽も様々です。

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アーティスト名|Possanunt

タイトル|Sabai & Obi

感想・批評|帯!自由であるべき自分に気づかされます。

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アーティスト名|大谷 理佳子

タイトル|complex

感想・批評|雑巾が、ヒカリエのショーウィンドウの中でお洒落な光を浴びていました。ちょっと誇らしげに、でも照れ臭そうに。

 

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アーティスト名|りんりん

タイトル|雨と花

感想・批評|Tシャツ展にキッズサイズでの出品って素敵ですね。襟と袖の絞り具合も。

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アーティスト名|Moe

タイトル|kodomonohi

感想・批評|鯉のぼりじゃなくて、鯉が空をのぼってる。見たことありそうで見たことのない景色。

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アーティスト名|水谷 華子

タイトル|大きくなったよ

感想・批評|キャラクターSHIBUYA♡HACHIにぴったり似合ってました。

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アーティスト名|Loshelon

タイトル|Rise Up

感想・批評|深い感情と表情を纏う。着る人の笑顔の奥にあるものを想像させます。

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アーティスト名|柏原 瑚子

タイトル|ここは美しい世界だ、なぜならまだあなたがそこにいるから。

感想・批評|フキダシの元に、手を繋いだ小さなお子がこちらを向いていたら、さらに素敵ですね。

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アーティスト名|Taito Fushimi

タイトル|River Surface

感想・批評|美しくも見え、汚なくも見え、やっぱり美しい。頭の中にTHE BLUE HEARTSのリンダリンダの最初の一行が聴こえ出しました。

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 吉井仁実(アートディレクター/清春芸術村 理事長)
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アーティスト名|小川めぐみ

タイトル|もしも忠犬じゃなかったら

感想・批評|実際にハチ公の剥製を見に行かれたとのことで、当時ご自身で感じた気持ちが上手に作品に投影されているのではないかと感じます。何十年も前から渋谷を見守る彼の幸せを私も願っています。

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アーティスト名|Taito Fushimi

タイトル|River Surface

感想・批評|川の流れによって生まれる模様の変容がとても綺麗に表現されていて素敵です。渋谷は日々過ごしやすく進化を遂げていますが、そのために失われたものが多々あることを忘れてはいけないと感じます。

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アーティスト名|MSK

タイトル|こんとんのしぶやを見つめるハチ公

感想・批評|いつも賑やかな渋谷を長い間じっと見守ってきたハチ公像目線の情景が思い浮かびましたし、暗闇の中に光があるように感じて素敵でした。

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アーティスト名|Kate Matsufuji

タイトル|Open Light

感想・批評|プリントではなく脱色の技法を使って制作したとのことで、ストリートグラフィティのような要素もあり、常に賑わう渋谷の繁華街にぴったりなコンセプト性の高い作品だと感じました。

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アーティスト名|山田太郎と愉快な仲間たち

タイトル|THIS IS SHIBUYA

感想・批評|渋谷の要素が入っていなくとも「これが渋谷だ」と思える洗練された素敵な作品でした。

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アーティスト名|中山裕輝

タイトル|I'm home.

感想・批評|作品自体はとてもシンプルなものに仕上がっていますが、余計な要素は加えないことで「I’m home」というキーワードの意味合いがより伝わりました。この言葉で自分がどこにいても自分らしくいられるような気持ちにさせてくれるという作者のコメントも温かく感じます。

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アーティスト名|seta

タイトル|咲きゆく人(他7作含)

感想・批評|8作ものシリーズ作品になっていて楽しく鑑賞させていただきました。また、世の中にはいろんな人がいると思わせる視点からも渋谷に集まる人々の多様性を感じる作品でした。

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アーティスト名|kao_sutenaiart

タイトル|捨てないで~

感想・批評|この作品を通して作家ご自身の活動にも興味を持ちました。ゴミを使ったサステナブルアートを通して子どもたちに環境のことを考えてもらういいきっかけになっていると思います。

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アーティスト名|ヒント

タイトル|Shibuyeah

感想・批評|シンプルでわかりやすい作品だと感じましたし、数ある作品の中で目を引きました。思わず口に出して読んでみたくなるフレーズでユーモアに富んだ作品でした。

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 脇田玲(アーティスト/慶應義塾大学 教授)
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アーティスト名|Taito Fushimi

タイトル|River Surface

感想・批評|渋谷川上流で墨流しを行い、その模様をTシャツに転写した作品。デジタルプリントによる応募作品がほとんどの中、墨流しと転写という古典的な手法を用いているところにまず面白さを感じました。コンセプトの秀逸さも際立っていました。暗渠化した渋谷川に着目し、経済発展の裏で失われた生活や文化、自然と人間との関係に想いを馳せるメディウムとして作られたこの作品を高く評価したいと思います。


以上、47の講評をご紹介いたしました。
特設サイトには、展示した全107作品がご覧いただけます。

https://shibuyaplusfun.com/machibiraki/opencity/art/

参考URL

■作品展示の様子

■作品募集告知

 

応募いただいた皆さま、展示にご協力いただいた皆さま、ありがとうございました!