渋谷駅前エリアマネジメント協議会設立10周年を迎えて

渋谷駅前エリアマネジメント 井上事務局長

渋谷駅前エリアマネジメント協議会は2023年5月30日で設立10周年を迎えることとなりました。

今回は、渋谷駅前エリアマネジメント協議会 井上事務局長に10年間の思い出やこれからの渋谷への思いなどを伺いました。

―10周年の記念イベントはいかがでしたか。

10周年当日は渋谷駅東口地下広場にてこれまで携わっていただいた方への感謝の気持ちとこれまでの活動内容のご報告を兼ねてトークイベントを開催いたしました。

参加された皆さんからは、過去から携わってこられた方々の活動や渋谷再開発への期待などを改めて確認できる場所になったとの声を聞くことができました。

今までは立ち上げから主にルール作り、社会実験などを行なってきましたが、コロナ禍も経て、これからは公共空間でのイベントなどをどう実現させるか、また、原点となる安心・安全を更に高めていくには何をしていくべきかなど新しい課題も増えて、ここからが本番！と気持ちを新たにする１日となりました。

―この10年間の中での一番の思い出深いエピソードを教えてください。

私も2020年4月から関わらせて頂いているので、10年全ては経験していませんが、過去からの流れを見てきて大きく感じているのは東口地下広場の供用開始です。

イベントなどにより場所の価値を高めて行くのはまだまだこれからですが、数々の思いや仕掛けが詰まった特別な場所だと感じています。

また、個人的に関わったものとしては、コロナ禍での開業となりましたが、渋谷駅ハチ公広場観光案内所「SHIBU HACHI BOX」が大きいです。前身の青ガエルの移設から見させていただき、短期間での実現ではありましたが、観光案内所のみならずまちの情報発信など色々な機能が詰まった施設になっているかと思います。

―今までも多くの地元の方とお話しされたと思いますが、渋谷駅前エリアマネジメントに対する1番の期待は何だと思いますか？

1番は、渋谷を持続的なまちとするために、工事中から賑わいをどう実現していくかだと思います。また、行政とのパイプ役となり、地元の声を新しい課題や取り組みに繋げていけたらと思っています。

これまでに課題解決をした取り組みの一例として、落書き問題があります。コロナによって人通りが少なくなり、落書きが増えたというお声を地元関係者からいただきました。渋谷駅前エリアマネジメントでは落書き防止のために、まちの美装化にもつながる壁画アートなどのペインティングを各所で実施しています。景観を守ることに繋げただけでなく、若手クリエイターの活動の場をつくる新しい試みとなりました。

―井上さんにとって「渋谷」はどんな街ですか？

SHIBUYA SKYやヒカリエデッキから望む大都会の渋谷もやはり魅力的ですが、路地裏のストリートの味わいのある場所も個人的には好きです。ひと言で渋谷は、「多様性の街」です。人そのものが多様性に満ちていて、いろんな価値観の人が集まっていることが渋谷の魅力です。

そして、古き良き渋谷のカルチャーや街並みが今も残っていることも大切にしたいところです。渋谷駅前エリアマネジメントはその両方を受け入れ、大切にしながら新しい渋谷を創っていきたいと考えています。

―井上さんが描く未来の渋谷について教えてください。

これから、駅前は、新たな公共空間や歩行者ネットワークが構築され、新しい景観がうまれてきますが、こうした空間的魅力を活かし、渋谷駅前エリアマネジメントのビジョンである「渋谷が世界一だと思う人をふやす」ことを実現していきたいと考えています。魅力的な街づくり活動が行われている場所としていくことが将来に向けた思いです。渋谷らしいウォーカブルなまちの玄関として特別な場所になれるよう貢献していきたいと考えています。

―渋谷駅前エリアマネジメントのこれからについてどのように考えていますか。

多様なヒトを受入れ、ヒトが主役で、ヒトが活躍できる街だからこそ、駅前でも色々な思いをもったヒトが活躍できる場を提供していく。その仕掛けをしっかりエリア全体でつくっていくことが渋谷駅前エリアマネジメントの未来像と考えます。

今も未来も変わりませんが、それを実現するために、共通ビジョンでエリア内の方々やまちの担い手がつながり合い、みんなでまちを魅力づけ、社会課題を解決できるよう、多様な側面からその推進役となっていくことがこの組織の姿かと思います。

我々は「遊び心で渋谷を動かせ。」をコンセプトに、SHIBUYA＋FUN PROJECTとして街を盛り上げる活動を実施してきました。今後もたくさんの＋FUNであふれる街を目指し、より多くの方に渋谷のFANになっていただけるよう挑戦していきますので、渋谷のこれからにも期待してください。